
「恋」以来、約10カ月ぶりとなる10枚目のシングルは、「家族」をテーマにした星野源ならではのソウルミュージック。新曲「Family Song」はどのようにしてできあがったのか?
流れるようなストリングス、懐の深いリズム、なめらかで伸びやかな歌声。聴く人は心地よく、うっとりと、その音のなかに誘われる。新曲「Family Song」は、ここ最近の軽快なシングル曲「SUN」や「恋」とは打って変わり、抑えたテンポで心の芯を揺らすミドルチューン。
「2年前にアルバム『YELLOW DANCER』を作っていた頃から、漠然とこういう音をやりたいと思っていたんです。シングル曲やアルバムのリード曲にアップテンポなものが続いていたので、そろそろアップテンポでない曲を作りたいなって」
そう考えていたところに、ドラマ「過保護のカホコ」の主題歌を、という依頼がちょうどあった。しかも要望はアップテンポでない曲。絶好のタイミングだった。星野源はまず作曲に取りかかることになる。
●手探りのサウンド作り
「1960年代後半から70年代前半あたりのソウルミュージックの音を、単にニュアンスだけまねするのではなく、日本人として自分のフィルターを通すことで一から作りあげたい」
向かうべき終着点は初めから見えていた。でも困難な道のりになることもわかっていた。
「そういったサウンドはJ-POPと相性がよくないというか、ちょうどいいあんばいでJ-POPとして成立させるのが難しいんです。だから『YELLOW DANCER』の時はいったん後回しにして。でも制作の過程で、『SUN』を作っている時にすごく似ているなと思いました」
ブラックミュージックと自分自身の音楽を融合させて、新しいソウルミュージックを作り出そう。2015年、「イエローミュージック」というコンセプトを掲げて、「SUN」の制作に着手した時も、思えば似たような感覚だった。それは「霧のなかをこっちかなと手探りしながら進んでいる感じ」に近かった。