借り換え時の諸経費も、金融機関ごとに異なる。融資事務手数料や登記費用、保証料などで計50万~150万円かかるが、

「特に事務手数料の額や保証料、団体信用生命保険の取り扱いは金融機関によって異なるので、比較検討した方がいい」(大倉さん)

 だがこの比較を全て自前でやるのは至難の業。上手にファイナンシャルプランナーやコンサルタントを活用するのも一つの手だ。

 例えば、住宅ローンのコンサルティングを手がけるMFS(東京都新宿区)は、全国140の金融機関の1200以上の住宅ローンを比較する無料アプリ「モゲチェック」を提供。ローン情報を登録すれば、借り換えメリット額が算出され、諸費用込みの返済総額を比べられる。コンサルタントとチャットをしたり、窓口を直接訪ねて無料相談も可能。同社によると、アプリの累計ユーザー数は約2万5千人いるという。

 また成功報酬制で借り換えも依頼できる。同社は貸金業登録もしているため、相談者の信用力を細かく把握し、審査に落ちるリスクも最小化できるという。担当の塩澤崇取締役(35)は「個人信用情報のデータベースといった審査上非常に重要な情報にアクセスできるため、審査が通る銀行を高い精度で提案できるのが強みです」と話す。

●手軽な試算サービスも

 昨春から借り換えのコンサル業務を開始以降、約200件の借り換えを実行。返済総額の削減実績は諸経費を差し引いても平均480万円という。塩澤氏によると、全国の住宅ローンの半数は「借り換えで100万円以上のメリットが出る」というのだ。

 お役立ちツールはほかにもある。

 ある程度ローンを絞り込んだ人なら、住宅金融支援機構の「借換えシミュレーション」で試算もできる。金利が途中で変更になるケースも設定可能だ。住宅ローンのコンサルティングを手がけるホームローンドクター(東京都中央区)は、LINEを通じて借り換えのメリットを無料で診断するサービスを提供している。やり方は返済予定表や償還予定表を撮影し、同社のアカウントに画像を送るだけ。変動や固定といった金利タイプ別に、金利の上下も織り込んだ簡易試算の結果が届くという。

 借りたままになっている住宅ローンなら、ひと手間をかけて最適化すれば、大切な財産を守る手段の一つになりそうだ。
(編集部・山口亮子)

AERA 2017年7月17日号