ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
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 経済専門家のぐっちーさんが「AERA」で連載する「ここだけの話」をお届けします。モルガン・スタンレーなどを経て、現在は投資会社でM&Aなどを手がけるぐっちーさんが、日々の経済ニュースを鋭く分析します。

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 未曽有の金融緩和を続ける日本銀行。日本政府が発行する国債を買い続け、その残高はすでに発行総額の40%にも達しようとしています。さらに中央銀行ともあろうものが、民間企業の株式を買いまくっており、日本経済新聞社の独自推計では、上場企業3675社のうち、日銀がいわゆる「大株主」(多い方から10位以内の株主)になっている企業はなんと833社!! にも達するのをご存じでしたか?

 通貨の番人たる中央銀行が、株式なんぞを買いまくること自体極めて疑問なんですが、これを資本主義と呼んでいいんでしょうか。手元に詳しい統計はありませんが、中国の国有企業でさえ、政府の持ち株比率は大分減ってきています。社会主義は一体どっちなんでしょう?

 要するに日本株式会社になっているということで、まあ、あれだけの粉飾決算をやった東芝でさえ潰れないのが日本。こうなるとクレジット・デフォルト・スワップ(CDS、企業の倒産に備える保険の一種)などは、日本ではいくらでも発行可能ということになります。結局潰れない……とみんなで信じて投資している世界だと言ってもいいわけですね。ちなみに日経のデータによると、日銀が大株主の企業トップ10は以下の通りです。

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