
元朝日新聞記者でアフロヘア-がトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。
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先々週のアエラの特集は「最良の友は犬か猫か」。いや正直どっちでもいーし……と心の中で突っ込んだアフロでしたが、中身を読み考えを改めました。
ペット界に起きていることは人間界に起きていることの反映です。高齢化も、愛が経済にしゃぶり尽くされる現実も、すべてが今を生きる自分と無縁ではない。むしろ、今ここにあるのに直視せず逃げている深刻な問題を、あられもなく表面化したのがペットの世界かもしれません。
中でも私が一番おののいたのが、このところ猫が「イヌ化」しているんじゃないかという記事です。
猫の魅力は、その自立した生きる姿勢。どれほど飼い主が愛を注ごうが決して媚びず、気ままな自由は手放さない。小学生のころ猫を飼っていた私にも、そのボヘミアンなクールさは強烈な憧れでした。ところがその猫が、犬のごとく飼い主の顔色をうかがうようになってきたらしい。
これは大問題です!