ペットの名前だらけのお墓が並ぶ墓地・霊園が増えるかもしれない(撮影/写真部・小山幸佑)
ペットの名前だらけのお墓が並ぶ墓地・霊園が増えるかもしれない(撮影/写真部・小山幸佑)
この記事の写真をすべて見る

 犬は「フレンドリー」だけど、は「ツンデレ」。猫好きにはたまらないその魅力が変わるかもしれない。人工増殖と給餌が野生を奪い、「犬っぽい猫」が増えているのだ。2017年は猫が犬の飼育頭数を上回る可能性が出てきた。猫ブームの勢いが止まらない中、ペットの世界に何が起きているのか。AERA 2017年6月19日号では、ペットを大特集。

 日本では、子どもの数よりペットの数の方が多いと言われている。それに伴い、ペットと一緒にお墓に入りたいと願う人が増加しているという――。

*  *  *

「一昔前は『私が亡くなったら、一緒に入れてほしい』という方もいらっしゃいました」

 こう話すのは某ペット霊園の関係者。愛犬を溺愛しすぎて、ペット用のお墓に自分も入りたいと言い出す愛犬家が少なからずいたという。背景にあったのは、「ペット不可」の墓地・霊園の多さ。千葉県で一人暮らしをするAさん(60代)が言う。

「2009年に夫が亡くなって、その1年後にジャン(犬・享年15)があとを追うように亡くなったのですが、お寺はペットの埋葬を認めてくれませんでした。なので、お墓参りのたびにジャンの遺骨をこっそり持ち込んで、お墓に入れさせてもらいました」

 Aさんの周囲の愛犬家たちも、みな同じようにこっそりと自身が将来入るお墓にペットの遺骨を埋葬していたという。なぜ、霊園はペットを一緒に埋葬することを禁止するのか?

 関東でペットと一緒に入れる霊園などを多く扱う美郷石材常務取締役の新美整氏が話す。

「仏教では動物を『畜生』に分類しているため、人間と一緒に供養すべきでないとするお寺さんが非常に多い。一方、宗教的制約のない民間霊園でも利用者の中には少なからずペット嫌いの方もおられます」

●先祖ともどもご供養

 だが、今や日本は子どもの数よりペットが多いというペット大国。そのため「ペット可」の霊園も着実に増えている。

「少子化で、子育てと同様、ペットに多額のお金を費やす家庭が増えた影響です。子ども同然なので、同じお墓に埋葬してお盆の時期には先祖ともどもご供養したいというニーズが高まっています」(日本ペットロス協会・吉田千史氏)

 新美氏も次のように話す。

次のページ