建築に携わる人のための専門誌「建築知識」(エクスナレッジ)が、17年1月号で「のための家づくり」という大特集を組んだのだ。動物行動学者やペットを得意とする設計士の協力を得て、猫の生態や身体能力を踏まえた住まいづくりを提案した力の入った内容で、発売と同時に大きな反響を呼んだ。売り切れ書店が続出し、たちまち4万部を完売、ネット書店では今も中古本がプレミア価格で取引されているほどだ。異例の特集を組んだ背景について、三輪浩之編集長はこう話す。

「住宅産業も少子高齢化に苦しんでおり、『ネコの手でも借りるか』と思い切った特集を組んでみたところ、本来のターゲットではない一般の方がたくさん購入してくれて驚きました。放し飼いが多かった昔と違い、完全室内飼いが主流になる中で、猫も人も快適に過ごせる住まいづくりに対するニーズの高まりを実感しました」

●猫と人間の共生

 著名なエコノミストやコンサルタントを抱える三菱UFJリサーチ&コンサルティングには、ネコのエコノミストを意味する「ネコノミスト」を自任する研究員がいる。国際協力を専門とする武井泉主任研究員と、産業政策が専門の北洋祐研究員だ。2人とも自宅で猫を飼う愛猫家である。

「自治体や企業などに政策を提言できる私たちの本業を生かして、猫と人間がより幸せに関わる社会をつくれないかと、2年前に社内の動物好きが集まって自主研修グループを作ったのがきっかけです」(武井さん)

 同社は武井さんらの活動を社会貢献の一環として評価し、予算をつけた。メンバーは本業の傍ら、迷子や飼育放棄などで収容されたペットの殺処分問題を中心に海外の取り組みを調べたり、自治体やNGO、業界団体などにヒアリングを重ねたりして、猫と人間の共生のあり方や政策について調査研究を行っている。

「保護猫の扱いに頭を悩ませる自治体などから相談も受けるように。昨年は委託調査を受注して、『ネコノミスト』として売り上げをあげることもできました」(北さん)

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