立命館宇治/所在地:京都・宇治。SGH(ソーシャルグローバルハイスクール)。IB認定校。帰国子女を多数受け入れ、生徒の2割、多い時は400人以上が在籍した。ロンドン、シンガポール、香港、上海、ニューヨークなどで国際入試、国際編入試験も実施。GCP(グローバル・チャレンジ・プログラム)で各国で開かれる国際会議などに生徒を派遣(撮影/MIKIKO)
立命館宇治/所在地:京都・宇治。SGH(ソーシャルグローバルハイスクール)。IB認定校。帰国子女を多数受け入れ、生徒の2割、多い時は400人以上が在籍した。ロンドン、シンガポール、香港、上海、ニューヨークなどで国際入試、国際編入試験も実施。GCP(グローバル・チャレンジ・プログラム)で各国で開かれる国際会議などに生徒を派遣(撮影/MIKIKO)

 2030年。あなたの子どもは何歳だろうか。ちょうどこの頃、社会の中核を担うのは今の中高生だ。AI(人工知能)の進化で仕事も働き方も急速に変わり始めた。変化の加速度を考えると、学校選びの基準もこれまでと大きく違ってくる。もう「教育改革」など待っていては、わが子の成長に間に合わない。AERA 2017年6月5日号では、「AI時代に強い中高一貫・高校選び」を大特集。アエラが注目する中高一貫校・高校の中から、立命館宇治を紹介する。

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 2000年、立命館アジア太平洋大学(APU、大分県)の開学を機に「世界」へと大きく舵を切ったのは、同大の弟分、立命館宇治だ。00年にAPUイマージョンプログラム・コースを始め、09年には関西初のIBディプロマ・プログラム(DP)認定校にもなった。イマージョン教育は2言語で同時に学習すること。高校には、IBコース、1年間の留学を必須とするIMコース、文科コース、理科コースを設け、その全てのコースでIBDPの理念が生かされているという。

 例えば、IMコース。留学後は国語など一部の授業を除き英語で授業を行う。今回見学した3年生の「TOK(知識の理論)」は、まさにIBDPの教育を実践しているものだ。

●中学英語は4グレード

 取材でお邪魔した3年3組のこの日のテーマは「REASON AS A WAY OF KNOWING」。「REASON(理性)」について「REASON」という単語を使わず、生徒たちが英語で説明している。小難しそうだが、一体何を学んでいるのか。校長のチャールズ・フォックスさんが説明してくれた。

「理性をどのように使うのか、ということです。何が知識になるかは、個々の人間が持っているレンズによって違ってきます。相手のレンズ、つまり立場を理解することで会話を成り立たせ、合意していかねばなりません。その訓練をしているのです」

 日本語でも説明が難しそうな内容だが、同校には中学段階で相応の英語力を備える充実したプログラムがある。帰国生徒は全体の2割ほど。語学力をさらに伸ばしたい生徒や、これから本格的に英語を学ぶ生徒など、レベルにあわせて四つのグレードに分け、きめ細かな体制で授業を進めている。3年次には全員が豪州で2週間の海外研修。その結果、英検準2級取得率は3年生で約80%を誇るという。

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