リノベーションとは古い物件に手を加えて新たな魅力をプラスすることで、単に古い内装を更新するだけのリフォームとは異なるとされる。
「専門業者が古い物件を買い取って改装し再販するケースと、個人が古い物件を買い取って自分で工事を手配するパターンがあります。最近は、業者が個人と同じ物件をめぐって競ったり、売り主が強気な価格をつけても売れていったりするケースも見受けられます」(久谷さん)
前者の場合は新築と同様に業者から買うので面倒がなく、ピカピカの部屋を購入できるのがメリットだ。後者の場合は工事の手配を自分で行うため手間がかかるが、自分好みの間取りやインテリアを実現できる。
後者のパターンで物件探しから工事のコンサルティングまで行う「リノベる」広報の田尻有賀里さんは、同社でリノベーションを行う人の理由で最も多いのはデザインの自由度と話す。
「一度スケルトンという骨組みだけの状態にして間取りから自由に設計できるので、注文住宅のように自分好みの住まいをデザインできます」(田尻さん)
同社顧客の平均リノベーション費用は886万円だが、とことん費用をかけてこだわりを実現する人も多いという。
同社にサポートを依頼した会社員の夫妻は、JR阿佐ケ谷駅から徒歩3分という好立地に築17年のマンションを購入、リノベーション工事を施した。
「新築は住んだその日に価格が2割下がると聞き、抵抗がありました。予算には限りがあっても、立地は譲れなかった」(会社員の夫婦)
●強度のピークは50年後
この夫妻が選んだのは築浅物件だが、田尻さんは、「価格メリットを重視するなら築20年以上の物件が狙い目」と話す。マンションは新築時から年数が経つほどに価格が下落していくが、20年程度で「上物」の価値はほぼゼロとなるので、それ以降の下落リスクが小さいという。
しかし、中古といっても、新築同然の築浅から40年以上経過する古いものまで流通している。そもそもマンションにはどのぐらい「寿命」があるのだろうか。長嶋さんはこう解説する。