米西海岸はご存じの通り、元々はぐれ者が集まった土地。東部のエスタブリッシュメントの既成概念や既得権者が嫌で、身一つで西部にやってきた。主にカリフォルニアに集まったわけですが、それでも飽き足らない……といういわば「超はぐれ者」がさらに北を目指してできた街がシアトルやポートランドです。
これらの街に共通するのは、住民が集まって侃々諤々とやりながら「俺たちが住みたい街」を追求し、自らも投資をしてリスクを取り、街づくりにも参画する点。そんな人たちがいるからこそ成り立つ構造です。この背景をなくして街だけをまねするとは、意味不明なプロジェクトです。
地方再生絡みで日本全国を講演で歩きますが、ほぼ共通して見えるのは、一等地を占拠する商店街のおっさんたちがおり、何もやらないので町の衰退が加速しているという悲しい現実です。
彼らは高度成長のお陰で借金はなく、国からは地方創生と称する補助金がゴチャマンとぶちまかれ、食うにも全く困らない。自分たちの子どもは東京で進学、就職して地元に帰る気もない。住まいは町のど真ん中でも町に対するコミットメントなぞ皆無で、地元を良くしようなどこれっぽっちも思ってないのが、シャッター商店街の現実なんです。
そんな地方にいったい誰が行きたいですか?
※AERA 2017年4月10日号