大田さんのような破天荒な例は一般的とは言えないかもしれないし、いま現在、多重債務者が急増しているわけではない。消費者金融全盛で、闇金が跋扈していた00年代前半と比べれば、法規制も増えている。

「最近は住宅ローンや低金利の銀行系カードローン、あとは子どもの学資ローンのような、生活に直結する借金で首が回らなくなっている人が多いと感じますね。住宅ローンもここ3年ほどバブルのころより審査が緩くて、一時期の米国のサブプライムローンのような問題が潜在化していると感じます」(吉田さん)

 昔も今も変わらない傾向と対策がある。返しきれない大借金を抱えた人は、返そうとしているうちはとてもつらいが、返せない現実を受け入れてしまえば解決策が自ずと見えてくる。

「先ほどの(1)~(3)は会社員用。自営の人には裏ワザもあって、返さずに訴えられてから和解するとか、裁判で敗訴して差し押さえられても、次第に失うものがなくなり、結果、債権者が回収を諦め、大幅な減額和解に至ったような事例もあります」(吉田さん)

 真面目に生きていても、社会状況やちょっとした不注意に足をすくわれ、もがいていくうちに蟻地獄にはまっていく人には、目に見える救済の手を差し伸べるのが成熟した社会と言えるのではないか。

(編集部・大平誠)

AERA 2017年4月3日号

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