2017年が幕を開けた。16年は、トランプ氏の大統領選勝利に代表されるように、世界中で既成概念や秩序が「反転」した年だった。アベノミクスの今後はどうなるのか、駒沢大学経済学部講師の井上智洋さんに話を聞いた。
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2016年は、日本銀行によるマイナス金利政策の導入や、長期金利を0%程度に誘導する目標の設定などの金融政策が相次ぎましたが、2%の物価上昇率という目標を達成する時期も先送りされました。
12年12月に発足した第2次安倍政権の当初は、量的緩和政策だけでなく、「アベノミクス」というネーミングも含めて景気回復に対する市場の期待が高まり、実際に景気回復につながりました。しかし、その期待も14年4月の消費増税によってしぼみ、インフレ予想も失速しました。
では、いまだに達成できていないデフレ脱却に向けて、17年にすべきことは何なのでしょうか。政府は景気回復だけでなく財政再建も目指すとしていますが、財政再建という目標を捨てないと、デフレからの完全脱却は難しいでしょう。金融緩和を続けるだけでは、デフレ脱却の効果はありません。
ゼロ金利またはマイナス金利の状態では、財政政策によって市場に流れるカネの量をコントロールできるようになると、私は考えています。今年、政府がやるべきことは、ゼロ金利またはマイナス金利の金融政策を続けたまま、財政再建という目標を捨てることです。市場に流れるカネの量を増やすために、積極的な財政政策を行い、国債を発行するのです。