沖縄のオスプレイ事故から垣間見えた現実がある。夜間の空中給油訓練でわかった米軍の狙い。事故のリスクの先にある世界とは。
米海兵隊のMV22オスプレイ(垂直離着陸小型輸送機)が日本で初めて、事故を起こした。
空中給油の訓練中だった。12月13日夜9時5分ごろ、沖縄本島の東約30キロの海上で、オスプレイのプロペラが、給油機から出ていた給油ホースを切断。プロペラは損傷し、名護市の海兵隊基地キャンプ・シュワブ近くの海岸に不時着した。この事故は、オスプレイ本体というより、空中給油の危険性を示すものだ。
航空機の航続距離を飛躍的に延ばす空中給油は、第2次世界大戦前から各国で試みられたが、戦後、軍用ジェット機が一般化して、普及した。給油機が後方に伸ばすホース、あるいはパイプにプロペラが当たる心配がジェット機にはないためだ。
●わずかな失敗で大事故
米海軍、海兵隊や他の多くの国の空軍は専用の給油機を造らず、輸送機などを改造して給油機にしている。米海兵隊の給油機KC130は左右の主翼につけた容器から給油ホースを出し、その先端に傘状の「ドローグ」(空気抵抗体)をつけてホースをほぼ水平に引っ張る。オスプレイは機首下部の右側から長さ約3メートルのパイプを繰り出しドローグに挿入、給油を受ける仕組みだ。風があるとドローグは揺れるから挿入には熟練が必要で、夜間はさらに難しい。
オスプレイの両翼端のプロペラは、離着陸時には上に向けてヘリコプターの回転翼になる。直径11.6メートルもある巨大なもので、それを前に向け巡航する際には胴体すれすれで回っている。挿入しそこなって少し前に出ればプロペラがホースをたたくことになる。また大きくかじを切れば、プロペラがホースに触れる可能性がある。