4位は、品川区の「第三日野小学校」。JR「目黒駅」と東京メトロ「白金台駅」の中間付近にあり、御殿山小学校と並ぶ品川区の名門校のひとつだ。平均年収は1051万円。学区内で特に高いのは「白金長者丸」といわれる上大崎2丁目、池田山の東五反田5丁目。いずれも高級住宅街として知られており、特に池田山は品川区内でもトップクラスの高級住宅街だ。
「池田山、御殿山、白金長者丸などは、いずれも由緒ある昔のお屋敷などがあった場所。長い歴史の中で富裕層が多く住みついて邸宅街が形成されていき、今でも年収が高い世帯が多く集まるようになった」(同)
●内申書はブランド校で
大田区の「田園調布小学校」が5位。言わずと知れた高級住宅地・田園調布を学区とする。敷地面積の広い大邸宅が多い中、特に田園調布3丁目と5丁目の年収が高い。
「駅の西側に広がる3丁目は借家世帯でも平均年収が1千万円を超えます。学区外からの指定校変更願いが多く出されている人気校です」(同)
自身も田園調布小学校出身の角川さんが言う。
「中学受験の内申書は、有名ブランド公立小から提出したいと考える親御さんもいます。中学校側が『この小学校出身の子なら安心だろう』とプラス評価になることを期待しているからです。そうしたイメージという点で、田園調布小学校はうってつけなのではないでしょうか」
年収が高い世帯は、「歴史と伝統」「パイロット校」など教育環境の良さを重視する。必然的に評判の高い小学校区の物件を選ぶことになり、その学区にはますます富裕層が集まってくる。「こうした傾向はより強くなるはず」と堂坂さんは語る。
「今でも学区を選択できるのは新入学時のみで、転居時には選択できない自治体もある。特定の学区に人気が集中すると、学区選択制が制限される可能性もあります。『子どもの教育環境』を住宅購入動機として優先する人は増えるはずです」
牧歌的でのんびりとした風景は、今は昔。都心では、公立小学校さえも「階層化」が進んでいる。(編集部・作田裕史)
※AERA 2016年12月26日号