平均年収は、トップの港区から7位の中央区まで1千万円の「大台」を超えた。最も低い荒川区でも753万円だった。

 国税庁の「平成27年分 民間給与実態統計調査」によると、正規社員の年間平均給与は485万円。同調査は単身者を含むので単純比較はできないが、23区の一部の公立小学校では、全国平均の2~3倍の収入がある世帯が集まっている。

「富裕層」世帯が、私立ではなく公立の小学校に通わせるのはなぜか。教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏はこう語る。

「お受験をして、慶應幼稚舎など名門校に入学できるのは一握りです。でも最終的には早慶以上の大学に行かせたい親は多い。それなら、お受験で無理をするよりも、小学校は公立でも塾などで学力を鍛え、中学受験で早慶を受ける。もしくは、御三家と言われる進学校に挑戦して早慶以上を狙えばいい、と計算して公立小学校へ入学させる親御さんはいるでしょう」

お金に加え「運」も必要

 実際、目黒区のランキング上位の公立小学校に娘(10)を通わせる30代の主婦はこう話す。

「お受験も考えましたが、中学受験率が9割と聞いて、地元の公立小学校にしました。受験率が低い公立だと浮いてしまう可能性もあるので、そこは気にしました。娘は2年生から『SAPIX』に通っていますが、教育熱心なご家庭が多く、同じような子も珍しくありません」

 では、個別にランキング校をみていこう。トップは「港区立南山小学校」。学区内の平均世帯年収は1409万円と群を抜く。学区内には総戸数793戸「六本木ヒルズレジデンス」や、地上29階、地下3階の「フォレストタワー」を有する「元麻布ヒルズ」をはじめ、専有面積の広い高級マンションが立ち並ぶ。70平方メートルの新築マンションの相場価格は約1億270万円。庶民の生活水準を超えている。

「学区では元麻布3丁目の平均年収が特に高く、約1662万円。港区は、他にも名門校と言われる白金小学校(平均年収1174万円)、日本最初の公立小・鞆絵小学校などが統合してできた御成門小学校(平均年収1268万円)など、人気校がひしめいている」(堂坂さん)

 私立保育園「駒沢の森こども園」の経営者で、富裕層の教育事情に詳しい角川慶子さんがこう言う。

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