●「実態は『セレモニー』」
世論を味方につけた対自民の構図も、少しずつ変化が出てきた。知事選で小池知事を支援し離党勧告を受けた豊島、練馬区議の通称「7人の侍」は、11月28日に自民党本部で行われた聴取で代表者が自民に残る意思を示し、知事選で反小池だった都議の選挙も支援すると表明したという。これに対し、7人の区議の一人はSNSで「事実とは違う」と表明。「自民党側からのデマだ」(小池氏関係者)、「言いたいなら言わせておけばいい」(別の区議)など、両陣営の思惑が錯綜している状況だ。
そんな混乱を収めるねらいの一手が、政党復活予算廃止だ。前出の小池氏側近は、復活予算廃止は都議選の争点にもなると言う。
「『撃ち方やめ』と言われてもやめない都議会自民党とは戦わざるを得ない。都議選では小池知事の地盤や自民党の主要議員の選挙区には必ず候補を立てる」
一方で、ある都政関係者は、この策が「むしろ知事側にとって致命傷になるかも」と言う。
「政党復活予算は毎年ほぼ決まりきった項目しか復活していないし、内容も当たり障りのないものがほとんど。実態は『セレモニー』にすぎない。だから民主党が都議会第1党だった時も、復活予算の内容はほとんど変わっていない」
例えば商店街の活性化事業はここ5年間毎年復活項目に挙がるが、「商店街は自民党以外の政党支持者もたくさんいる。自民党だけが集票に利用していたという認識自体が間違っている」(前出の関係者)
200億円の予算編成を都が握ったとしても「各種団体からのヒアリングを本当にさばけるのか。むしろ混乱を招くだけなのでは」と、この関係者は予測する。攻めの一手が追い風になるか、逆風を呼ぶのか。来年1月の予算編成が新たな主戦場となる。(編集部・福井洋平)
※AERA 2016年12月12日号