「9条を前面に出すとこの国はすぐ思考停止に陥り、右だ左だと言い合うばかりで何も進まない。(略)まずは誰が聞いても『いい』と言えるような憲法から改正して、『憲法は改正できるものだ』という意識を共有するところからはじめたほうが、結果的には早く憲法改正できるのではないかと思うんです」

 まさに“お試し改憲”であり、一時の安倍政権の振る舞いを彷彿させる。実際に小池氏は、15年2月の衆院予算委員会で、安倍首相にこんな質問も投げかけている。

●在特会系団体で講演

「私は以前から、八十三条、財政の条項からまずやってみたらどうかと(言ってきた)。一度も憲法改正に国民は投票したことも(ない)。いきなり全部のメニューを最初からというよりも、ひとつそのような形で進めるべきではないだろうか」(丸カッコ内は引用者の補充)

 これ以外にも、日本会議の幹部を前に日本の「核武装」を容認するかのような主張をした過去もある。保守系オピニオン誌「Voice」(PHP研究所)の03年3月号で、杏林大学教授(当時)の田久保忠衛氏らと鼎談した際、現在は日本会議の会長を務める田久保氏らにこう訴えた。

「軍事上、外交上の判断において、核武装の選択肢は十分ありうるのですが、それを明言した国会議員は、西村真悟氏だけです。わずかでも核武装のニュアンスが漂うような発言をしただけで、安倍晋三官房副長官も言論封殺に遭ってしまった。(略)現実的議論ができるような国会にしないといけません」

 現行憲法破棄、“お試し改憲”積極論、そして核武装容認──。こうしてみると、小池氏の日本会議的なタカ派ぶりは際立つ。10年12月には「在特会(在日特権を許さない市民の会)」系の団体で講演し、問題視されたこともある。

 だが、少し前に日本会議を集中取材した私には若干の違和感も残る。日本会議の創設に関わった者を含め、かなりの数の関係者を訪ね歩く中、彼ら、彼女らの口から小池氏の名を聞いたことが一度もないからである。

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