アエラにて好評連載中の「ニッポンの課長」。
現場を駆けずりまわって、マネジメントもやる。部下と上司の間に立って、仕事をやりとげる。それが「課長」だ。
あの企業の課長はどんな現場で、何に取り組んでいるのか。彼らの現場を取材をした。
今回はメットライフ生命保険の「ニッポンの課長」を紹介する。
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■メットライフ生命保険 ブランドマーケティング部 ブランドアクティベーション課 課長 小林真(44)
全長約39メートル、高さ約13メートル。マストにつながれた飛行船がゆったりと揺れている。
「空を見上げて、前向きな気持ちになってほしい。その気持ちに寄り添っていきたい」というメッセージを込め、メットライフ生命が2010年から運航している飛行船だ。飛ぶ姿を見てもらうだけでなく、係留先ではコックピット見学や飛行船のしくみを解説するトークショーなども開いている。その企画・運営を担当しているのが、小林真と3人のチームだ。
取材中、小林の口から何度も聞いて印象に残った言葉がある。
「妥協しない」
営業系と違い、直接収益を上げる部門ではない。だからこそ、妥協しないというのだ。スケジュールや予算が限られた中で、「これだけしかできない」と妥協するのではなく、納得できる方法を探し求める。見て聞いて触れられる来場者参加型の催しも、その延長線で考えついた。
大学卒業後、新聞社を経て、出版社で編集デザインの技術を培った。その後、印刷会社に転職し、企業のPRツールを制作。その実績が買われ、07年にアリコジャパン(現メットライフ生命)に移った。パンフレットや広告の制作に携わった後、14年、現在の部署に来た。
「常に前向きに、と心がけています。初めての試みでも、今の自分だからできることがあるはずだ、と考える。実際、これまでの経験すべてが、今の業務に生かされています」
熱が入るのは仕事だけではない。プライベートでは妻とともに、DREAMS COME TRUEのコンサートで全国を飛び回る。
「お客様に最も選ばれる生命保険会社を目指し、他の保険会社がしたことのないことにチャレンジしていきたい」
ふと顔を上げると、いつのまにか飛行船の周りにたくさんの人が集まっていた。
(文中敬称略)
※本稿登場課長の所属や年齢は掲載時のものです
(ライター・安楽由紀子)
※AERA 2016年7月18日号