商船三井客船「気配りの2代目『海の女』」商船三井客船マネージャー 森田純子(46)撮影/門間新弥
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商船三井客船
「気配りの2代目『海の女』」

商船三井客船
マネージャー 森田純子(46)
撮影/門間新弥
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 アエラにて好評連載中の「ニッポンの課長」。

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 現場を駆けずりまわって、マネジメントもやる。部下と上司の間に立って、仕事をやりとげる。それが「課長」だ。

 あの企業の課長はどんな現場で、何に取り組んでいるのか。彼らの現場を取材をした。

 今回は商船三井客船の「ニッポンの課長」を紹介する。

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■商船三井客船 マネージャー 森田純子(46)

 1990年に就航し、現在3代目になる豪華客船「にっぽん丸」。楽しみの一つが、朝、昼、夜の食事だろう。8階まである客船には様々な食事場所があるが、その中でもメインとなるダイニングを統括しているのが森田純子だ。

「父親も船乗りでして、働くステージが海っていいなと思いました」

 職業柄、海での生活が1年の半分以上を占める。入社間もないころには船酔いに苦しんだが、「船酔いは病気じゃない。弱音を吐くな」と励まされた。今では、プライベートで海外旅行をするときも、海のある国を選ぶ。

 高校を卒業し、88年に入社。客室担当や船内ショップの裏方、バーテンダーなどを経て、2014年7月から現職。フィリピン人スタッフが3分の2以上在籍する10~30人のダイニングチームをまとめる。

 夕食前になると、「オーシャンダイニング春日」の入り口に、乗客を出迎える森田の姿があった。長いクルーズの場合、食欲の有無や食事時間が遅れていないかなど、一人ひとりの細かいところまで気を配る。

「ご利用されるお客様70人ほどの顔や名前などを2日目の食事までに覚えるようにしています」

 日本酒好き、赤ワインは好みでも酸味のあるタイプは苦手など、乗客ごとの好みに合ったものを提案するだけではなく、食物アレルギーの有無も把握し、あらゆる人に心地良い時間を過ごしてもらいたいと思う。

「日々勉強です。サービスに終わりはありませんから」

 大型連休最終日の5月8日。取材後、にっぽん丸は東京・晴海埠頭から神戸、九州、山陰を経て、ロシアのウラジオストクへ回り、東北地方経由で東京へと戻る13日間の船旅へと旅立っていった。

「何回でもお帰りいただいて、にっぽん丸を別荘代わりにしてほしいですね」

(文中敬称略)

※本稿登場課長の所属や年齢は掲載時のものです

(編集部・小野ヒデコ)

AERA 2016年6月6日号