熱戦の続いたリオ五輪を見て、私も参加したい! と思った人も少なくないのでは。五輪を身近に感じて、より楽しむ方法を教えます。
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五輪に参加する方法はまだある。ボランティアがそうだ。五輪のようなスポーツイベントに携わる人々は、「スポーツボランティア」と呼ばれ、リオ五輪で5万人、ロンドン五輪で7万人が大会を支えた。チケットのチェック、警備、テクノロジーサービスから医療に通訳。一般職から資格を要するものまで膨大な仕事がある。
20年東京五輪の大会組織委員会の公表資料によれば、対象年齢は20年4月1日時点で18歳以上。望ましい経験は「チームで働ける力」「語学力」などがある。募集は18年からで、ウェブやマスメディアなどで広く告知されるとみていい。書類選考・面接を経て、採用通知の送付が19年後半。開催年にオリエンテーション・教育課程を修了し、本番に臨むと見られる。
「求人」総数はどうか。前述の資料では、「大会ボランティアが8万人。競技会場のある自治体(東京都)で活動する都市ボランティアで1万人以上」とある。企業や自治体からの派遣組も入れると、グローバル企業並みの巨大組織が生まれる。
リオで7人制ラグビー男子日本代表などの通訳を務めた新条正恵さん(39・語学コミュニティー運営)は、定員のキャンセル待ちまでして、ボランティアとして働いた。
「アスリートの言葉を常に一人称で伝えるので、訳している側も同じ気持ちになれる。こんな貴重な経験はない」(新条さん)
一方、日本では無理解な反応も。大会組織委のボランティア素案の採用条件が「1日8時間×10日間以上参加」と報道されたときは、「ブラック」などと批判があったのだ。
●成熟は道半ば
リオも含め、3度五輪ボランティアに参加してきた西川千春さん(56・経営コンサルタント)は、こう言う。
「大義(=ミッション)があって、それに賛同し、自己実現が重なる時に手を挙げる人がボランティア。貴重な経験を積みたい人たちの気持ちを踏みにじらないでほしい」
NPO「日本スポーツボランティアネットワーク」を支援する笹川スポーツ財団専務理事の渡邉一利さんは、ボランティアの定義を「主体性」「無償性」「公益性(共助)」とするが、これが日本で当たり前になっているかといえば、そうではない。