安倍政権は現憲法を「押しつけ」とみなし、改憲をめざす/2015年11月、民間団体主催の改憲イベント (c)朝日新聞社
安倍政権は現憲法を「押しつけ」とみなし、改憲をめざす/2015年11月、民間団体主催の改憲イベント (c)朝日新聞社
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 安保法制、国会前のデモ。2015年は多くの人が立憲主義に向き合った。今年は、夏の参院選を契機に「改憲」と向き合う年になるのかもしれない。今さら聞けない「改憲」の疑問について、TBS「NEWS23」メインキャスターの星浩さんに答えてもらった。

■安倍政権や自民党は、憲法のどこをどう変えたいのですか

 自民党が掲げる憲法改正草案には、戦争放棄は維持するものの「国防軍」による国民の安全を守るための活動を認める、とあります。「家族は、互いに助け合わなければならない」と明記され、大規模災害の発生などに備えて「緊急事態条項」を新設するとしている点も大きな特徴です。

 安倍首相は「米国に一方的に守られている現状は、真の同盟ではない」という趣旨の発言をしています。集団的自衛権の枠を拡大し、米国のために日本も血を流す双務的なものにしようと考えているのです。草案の根幹には「現行憲法は押し付けられたもの。自分たちの手で新たなものを作ろう」という意識があり、それゆえにほぼ全ての条項を見直そうとしています。

 ただ、憲法は一度にすべてを置き換えられません。1項目ずつ国会に諮り、国民投票をしなければならない。では、どこからやるか。いきなり9条はハードルが高い。環境権や緊急事態条項などから「お試し改憲」するつもりなのでしょう。

 しかし、事はそう簡単ではありません。例えば、今回の九州・本大地震。現行法で対応できているので、緊急事態条項は必要性を感じません。憲法解釈を強引に変えて、集団的自衛権を限定的に行使できる法律も作ったので、現行憲法のままいろんなことができてしまう。

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