もともとは法学者。市民運動に深くかかわり、学生らの後見人役として運動を支えた「兄貴分」だ。いま、若い力が新党を支える。選挙では大勝した民進党と協力し、自らを含めて5議席を得た。
「市民運動だけではかなわない理想を、議会から実現させたい」。向かいは立法院。かつて占拠した議場が仕事場になった。
黄は00年から1年間、東京で過ごした。米国の大学に留学中、論文を書くために東京大学で研究生活を送った。黄は日本では社会の緊迫感が乏しいと感じる。
「台湾は自らの民主は自らで守らなければという思いが若者を動かしているし、社会も支持している。日本は中国の野心にのみ込まれる脅威が台湾ほどではないし、経済や生活も相対的に悪くないからだろう」
そんな日本の昨夏の動きに関心が寄せられている。
「SEALDsが現れ、同じ世代として興奮した。日本にも、いよいよ出てきたか!と」(林)
台湾の若者の間で、1960~70年代の日本の安保闘争とその挫折は、村上春樹の小説などを通じて漠然とだが、意外に知られている。その後、日本の若者が政治的主張を見せない理由とも伝えられている。
そんな林が楽しみにしている会合が4月上旬、マニラで開かれる。台湾、香港、韓国、ベトナム、フィリピン、タイ、マレーシアなどの若者約20人が集い、民主主義をテーマに非公開で議論。日本からはSEALDsのメンバーが参加する。
「(中国からの)独立を主張する私たちは反戦でもあります。社会政策はリベラル。軍拡を続ける中国に対して、日本のリベラルな若者の考えを聞きたい。議論がとても楽しみです」(林)
(朝日新聞編集委員・吉岡桂子)
※AERA 2016年4月4日号より抜粋
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