政治的主張を掲げ、若者が議場に街に飛び出した台湾と香港の出来事から2年。昨年、日本でも若者が立ち上がった。「先輩」たちにはどう映ったのか。
立法院(国会)を23日間にわたり占拠した「ひまわり学生運動」を率いた林飛帆(リンフェイファン)(27)に2月、台北で会った。故郷・台南で兵役の代わりとなる高齢者向けの福祉活動を終え、米国への留学を準備中だ。
「理想を抱いてここに来て、責任を担って去る」。2年前の4月、こう宣言して、議場を仲間とともにきれいに掃除してから去った林は、運動を振り返る。
「台湾で1987年に戒厳令が解けてから育った我々の世代は、民主制度を命がけで勝ち取った上の世代から、政治への関心が薄いとずっと言われてきた。それが、3.18運動で変わったのです」
2014年3月18日。中国依存を強める当時の与党・国民党の強引な議会運営に反発し、台湾大学大学院生だった林ら学生を中心としたデモ隊が立法院に突入した。ひまわり運動の起点だ。これもまた強引な手法ではあったが、一党独裁のまま大国化する中国への警戒感と、民主主義をないがしろにした与党への反感が増す市民の支持を得た。林は言う。
「台湾の主権と主体性、そして民主主義は自分たちで守らなければならない。そういう意識が若い世代にも確実に広がりました」
ひまわり運動がまいた種は芽吹き、再び花開いた。14年11月の地方選挙に続き、今年1月の総統・議会選挙でも若者は熱心に投票に出かけた。政党を立ち上げたり、自ら立候補したりする者も現れた。林も、複数の政党に分かれて出馬した仲間たちの応援にマイクを握った。
その一人に、新党「時代力量」主席、黄国昌(ホワンクオチャン)(42)がいる。入居したばかりの議員会館の党事務所に訪ねた。