アエラにて好評連載中の「ニッポンの課長」。
現場を駆けずりまわって、マネジメントもやる。部下と上司の間に立って、仕事をやりとげる。それが「課長」だ。
あの企業の課長はどんな現場で、何に取り組んでいるのか。彼らの現場を取材をした。
今回はスマートニュースの「ニッポンの課長」を紹介する。
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■スマートニュース データサイエンス・マシンラーニング マネージャ 西岡悠平(38)
実に自由な会社だ。オフィスの白い壁は、マーカーでメモや数式が書けるように塗装され、社員が思うままの姿で仕事ができる「フリースタイルゾーン」には、ハンモックまでぶら下がる。西岡悠平はその右隅に陣取り、黙々と作業をする。
スマートフォン用のニュースアプリ「SmartNews」は、ウェブ上に散らばるニュース記事を集め、「エンタメ」「スポーツ」「政治」など、それぞれの分野ごとに「良質な記事」を自動で選んで、配信している。そのアルゴリズム生成を担うのが、西岡が率いる7人のチームだ。
チームは全員、大学院を修了した宇宙物理学や数学のエキスパートばかり。西岡も京都大学大学院情報学研究科出身だ。良質な記事を配信するための最高のアルゴリズムを考え、数式を導き出してプログラムに落とす仕事だが、この「良質」というのが難しいと、西岡は言う。
「大勢に読まれているから良い記事とは限らない。『良質』の定義自体が難しいので、何を重視するか、僕らも毎日議論しています」
外資系や、大手インターネット企業を経て、2014年にスマートニュースに入社。過去にはIPA(情報処理推進機構)のスーパークリエータに認定された。
「僕らが届けたニュースでユーザーが知識を得たり、変化が起きたりすればうれしい。システムの一番コアな部分を僕ら7人という少ない人数でがんばって支えて、月間約500万人にニュースを届けているということは、めちゃくちゃやりがいがあります」
数年前までは、アイドルグループ「ももいろクローバーZ」のライブに地方まで遠征するほど夢中だったが、1年前に結婚をしてからは落ち着いた。「今は妻とのデートが楽しい」と笑顔を見せる西岡は言い切る。
「これが良いニュースだというのを、もっとアグレッシブに、どんどん変えていきたい」
(文中敬称略)
※本稿登場課長の所属や年齢は掲載時のものです
(編集部・大川恵実)
※AERA 2015年11月9日号