国会議員のカネの情報をデジタル化し、わかりやすく公開しよう。民間が始めた挑戦は、政治不信を晴らすことができるか。
評価する声もあれば、課題を指摘する意見もあった。なかには、不機嫌そうな態度を示す国会議員や秘書もいた。
「ネットで検索すると名前が出てくる? 政治を応援しようとしている人から見たら、マイナス効果になるんじゃないか」
東京・永田町の議員会館。2015年春から秋にかけて、NPO法人「ドットジェイピー」(佐藤大吾理事長)の関信司メディア事業部長らが、国会議員の事務所で議論を重ねていた。
議員らの不安は理解できた。特に個人献金は、今後の代議制民主主義を支える原資になるべきだ、と指摘する声は多い。献金した人の情報が容易に見つけられるようになれば、献金へのハードルを上げることにもなる。
「日本では、政治のためにお金を出す人や団体は、よからぬつながりがあると見られてしまう。なんでも情報公開すればオーケーという単純な話ではない。現在は、献金した個人や企業名は伏せる計画です」(関さん)
国会議員が使うカネの情報をネット上で公開する「政治資金透明化プロジェクト」は、こんなふうに手探りで始まった。
メディア関係者やIT企業の経営者、研究者らが立ち上げ、米IT大手グーグルから得た2500万円を当面の運営資金に充てている。実務を担うのが、関さんらのドットジェイピーだ。