そんな熱狂をよそに本人はいたってクール。笑顔には可愛さが残るが、落ち着いた低い声と佇まいには貫禄すら漂う。

 デビューは11年「仮面ライダーフォーゼ」の佐竹輝彦役。舞台は「忍たま乱太郎」「テニスの王子様」「NARUTO」と立て続けに人気作に登場し、順調にキャリアを積んだ。

 転機は通信制の高校生だったころ。何もしたいことがなく、生活は完全に堕落した。そんな自分に嫌気が差していた。

「“時の流れを司る”という意味が込められた“佐藤流司”という人間が腐ってしまう」

 急激な不安に襲われたことを見抜かれたのか、父親が事務所に応募。一歩を踏み出した。

「今の仕事を始めたとき、日常に色がついたと感じました。全く違う世界にやってきた感じ」

 今や、ファンから「ファンサービスの神」と絶賛される彼だが、役作りでは自分の色を入れないことに徹しているという。

「自分を出さないことで、自分らしさを出したい。今の自分には何もかもが足りないと感じています。努力しながら、自分だけの道を一歩ずつ進みたい」

AERA  2016年2月8日号より抜粋

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