東京都内の携帯ショップでは旧型の端末が「0円」で売られていた。今後このような商法はなくなり、主な端末の代金は1万円以上、上がりそうだ (c)朝日新聞社
東京都内の携帯ショップでは旧型の端末が「0円」で売られていた。今後このような商法はなくなり、主な端末の代金は1万円以上、上がりそうだ (c)朝日新聞社
この記事の写真をすべて見る

 携帯大手3社が料金見直しに着手した。多くの利用者の負担が軽くなるわけではないが、ユーザー間の「公平性」は高まりそうだ。

「本体価格0円」。携帯ショップでよく目にするあおり文句だ。他社からの乗り換え客などを対象に、月々の通信料の値引きやキャッシュバックによって、スマートフォン端末の代金を実質ゼロにする販売手法。NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの大手3社はこの手法を見直す方向で、実現すれば主な端末の代金は1万~1万5千円ほど値上がりしそうだ。

「業界のあしき慣行にやっとメスが入る」(総務省関係者)

 これだけを見ると消費者の負担は増えることになるが、野村総合研究所の北俊一上席コンサルタントはこう指摘する。

「データ通信量が少ない人や、同じ端末を長く使い続ける人から得る利益によって、ヘビーユーザーや、しょっちゅう乗り換えをする利用者の支払いが結果的に少なく抑えられている。このような不公平感こそ、日本の携帯料金体系の問題点です」

 端末値引きの元手は、激しいシェア争いを続ける大手3社が、もうけからひねり出して販売店に配る奨励金だ。同じ端末を長く使う利用者は恩恵を受けられないのに、見ず知らずの乗り換え客向けの値引きコストが携帯料金に乗っている、というのが実態なのだ。奨励金は、新規参入勢が手がける格安スマホの普及を妨げるカベにもなってきた。

次のページ