民間企業は、大手であってもいつ経営不振に陥るかわからない時代。それと比較すると、公務員の安定性は際立つ。だが、そんな「ホワイト」な面ばかりではない。公務員だって「ブラック」な働き方を強いられているという嘆きも聞こえる。
東京・霞が関。あるキャリア官僚(48)はこう語る。
「あまりよくないのかもしれませんが、正直、月100時間ぐらいの残業はたいしたことがないと思っています。深夜、このあたりを歩いてみてくださいよ。残って仕事をしている職員が、山ほどいますから」
国会答弁や法案作りに忙殺され、30 代のころは残業が月200時間に迫ったこともある。それが3~4カ月続いたときには起床時に体が動かなくなり、家庭も壊れかけた。
「これだけ働いてこの給料か、とばからしくなって、最近はやめてしまう若者が多い」と嘆くが、男性は「国を支える」というきつくてもやりがいのある仕事に誇りを持ち、それに耐えてきた。支払われる残業代は、時間に対して半分程度だ。
「熱い志を持つ青臭いブラック企業」
自身が所属する省を、そう評した。
ある40代の財務官僚には、残業以上につらいことがある。特定の上司による、パワハラまがいの「言葉のイジメ」だ。