富士ゼロックス「本物の“輝き”を求めて」富士ゼロックス 商品開発本部 第一商品開発部ゼネラルプログラムマネジャー 鈴木孝義(48)撮影/写真部・東川哲也
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富士ゼロックス
「本物の“輝き”を求めて」

富士ゼロックス 商品開発本部 第一商品開発部
ゼネラルプログラムマネジャー 鈴木孝義(48)
撮影/写真部・東川哲也
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 アエラにて好評連載中の「ニッポンの課長」。

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 現場を駆けずりまわって、マネジメントもやる。部下と上司の間に立って、仕事をやりとげる。それが「課長」だ。

 あの企業の課長はどんな現場で、何に取り組んでいるのか。彼らの現場を取材をした。

 今回は富士ゼロックスの「ニッポンの課長」を紹介する。

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■富士ゼロックス 商品開発本部 第一商品開発部 ゼネラルプログラムマネジャー 鈴木孝義(48)

 だれしも苦手なものはある。カラープリンターにとってのそれは、金色と銀色。粉末状のトナーを熱で溶かして紙に定着させるという構造上、金、銀はムラができやすく、“輝き”を表現することが難しいのだ。そんな苦手を、富士ゼロックスの鈴木孝義が束ねる第一商品開発部は、世界で初めて克服した。

 たとえば、賞状を思い浮かべてほしい。金色の飾り枠の中に「賞状 あなたは……」とある。従来は先に飾り枠をオフセット印刷で大量に刷ったあと、文面を別途印刷する。ところが、新開発したデジタル印刷機「カラー1000iプレス」ならば、飾り枠も文面も一度で印刷できる。「では、家庭に一台」という製品ではない。税別で4500万円。事業者向けの印刷機で、2月に発売された。

 商品化に動きだしたのは、約1年半前。開発を進めるほど、壁が立ちはだかった。光り具合が安定しなかったり、トナーが紙の上にこぼれ落ちたり。開発には100人近くがかかわったが、「もっと早く」という「上」の声と、「そうは言っても」という現場の声の間で、統括役の鈴木は調整に奔走した。

「上の指示をそのまま伝えても、現場は理解してくれない。上には正しく現状を報告しなければいけませんが、あまりネガティブでもいけない。組織のコミュニケーションを円滑にして、チーム全体が共通の意識を持つようにするため、苦労しました」

 めざしたのは、本物の輝き。試作に使ったトナーは、1トンを超えた。

 早稲田大学理工学部を卒業し、1989年に入社。機械開発を取りまとめるマネジャーや欧米の販売戦略などの部署を経て、現職に。トナーとAKB48の“推しメン”については、話しだすと止まらない。

「近年はスマホやパソコンでのコミュニケーションが多いけれど、このメタリックな質感と輝きは印刷ならでは。手に取って先端の技術を体感してほしいですね」(文中敬称略)

※本稿登場課長の所属や年齢は掲載時のものです

(ライター・安楽由紀子)

AERA 2015年5月25日号