爆発を起こした保管施設は2013年、この新しい街の隣に造られた。周囲1キロの範囲に住宅地などがある場所で、こうした危険な施設を建てることは、法律で禁じられている。にもかかわらず建設の許可が下りた結果、住民たちは爆発に巻き込まれた。07年に河北省から浜海新区へ出稼ぎに来た男性、張さん(38)は憤る。
「我々の命など、政府や業者の頭にはこれっぽっちもなかったのだろう」
建設を許可したのは誰か。危険物のずさんな管理を見過ごしてきた疑いもある。今回の爆発事故は、政治の腐敗が絡んだ人災の様相を呈している。
習近平(シーチーピン)国家主席は爆発の翌日に出した重要指示で、「原因を究明し責任者を厳しく処分せよ」と強調した。北京の外交筋は、こう明かす。
「現場は中国屈指の開発区。ここで成績を上げて出世したり、利権に群がったりした官僚が山ほどいる。彼らが考えているのは、いかにこの事故の責任から逃れるかだろう」
※AERA 2015年8月31日号より抜粋