現在2歳の男児を育てながら、フルタイムで編集者として働く練馬区の女性(36)も、民営化したばかりの認可保育園に見学に行って驚いた。経験の浅い保育士ばかりで、子どもが騒ぐと舌打ちしたり、男の子同士の喧嘩を無言で引き離して終わりという状況が目についた。
「とにかく保育士免許を持っている人を集めただけ、という印象を抱きました。うちの息子は食物アレルギーがひどいので、こんな保育園に預かってもらうのは不安でした」
結局、古くからある公立認可保育園のみに入園を申請したが、入れずに現在は認可外保育園に通わせている。
もちろん株式会社の参入が、必ずしも悪いわけではない。子どもの居場所確保に悩む保護者にとって保育施設の増加は朗報だ。
今年、激戦の保活を経て企業が運営する認可園に0歳の息子を預ける品川区のメーカー勤務の女性(38)はこう言う。
「うちの区も激戦区で、公立か私立か、認可か認証かなどと、言っていられない状況でした。この認可園を増やす方向性は継続してほしいと思います」
※AERA 2015年8月24日号より抜粋