水原:今回、こんな大きな作品に携われて、プレッシャーがすごくありました。だけど、やり終えて、女優としてやっていく腹をくくれた気がしました。
三浦:この作品に参加させていただく中で感じたんですが、何かこう、どうしようもないことに立ち向かっていく姿は、どの時代も胸を打つんじゃないかなって思いました。
水原:それってある意味、永遠のテーマだと思います。誰でも、自分の目の前に立ちはだかる“壁”ってあるじゃないですか。ミカサやエレンたちが、壁の内側でただじっとしているだけの話だったら、そんなに感動しないんでしょうけど、彼らが外に向かっていき巨人と戦うストーリーだからこそ、みんな共感できるんだと思います。
三浦:巨人って、いろんなものを象徴した存在のような気がするんです。巨人には、圧倒的な存在感と恐怖があるけど、それって、僕らの生きる日常にも言えることなのかなって。人には、何かしら逃げられないものがあると思うし。
水原:そう。みんな葛藤や抱えているものがあって、つらい思いをしている人や傷ついている人、孤独な思いをしている人がいると思います。だけど、何がそれを救うかというと、仲間であり、最終的には愛だと思うんです。ミカサも最後には、すべてを受け入れ聖母マリアのようになっていきます。
三浦:“壁”って、意外と僕たちの身近にも象徴的に存在する気がします。たとえば、学校や会社の中だけが世界のすべてで、そこで起こることがすべてだと思い込んでいる人もいるかもしれない。だけど、壁の内側にいると、わからなくなることもたくさんあると思うんですよ。僕は、この作品は大迫力の映像を楽しむとともに、自分にとっての壁は何なのか、その壁を壊す突破口は何なのかを考えるのもおもしろいと思う。そういう人たちに刺さるメッセージがあればうれしいです。
※AERA 2015年8月3日号より抜粋