近年、さかんに叫ばれるようになった女性の管理職登用。当の女性達やその周囲、そして企業は、これにどう向き合っていけばいいのだろうか。クロスカンパニー社長は、自社の取り組み例に挙げつつ、次のように話す。
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日本の企業で、女性の登用に何が障害になっているのでしょうか。「女性はリーダーになりたがらない」と精神面の性差を主張する人がいます。しかし、男性でもリーダーになりたくない人や、向いていない人はいます。
僕は、一番の要因は管理職の残業だと思っています。そこで、組織文化を変えるため、中間管理職は午後6時半までに帰らせることにしました。「スタバでやってもいい、家に持ち帰ってもいい」と、ほぼ定時には職場から消えてもらった。次第に効率的な仕事の仕方を覚え、持ち帰りも少なくなっています。
上司が残業していたら、部下は「管理職になると毎日遅くまで残らないといけない」と考えます。家事や育児と残業の両立が精神的なプレッシャーになり、管理職候補の女性は「辞退したい」と考えるのです。決して、仕事において責任を負いたくないからではありません。管理職に残業させないという取り組みを始めてから、「管理職になりたい」という女性社員の意欲が高まってきたと感じています。
こうした組織文化だけでなく、女性のキャリアが途絶えないように、福利厚生制度も整えています。例えば、産前休暇は法定の6週前より早い12週前から取得できます。アパレルの製造小売業なので、販売スタッフでも子どもの行事に参加できるように、大型連休や日曜日に休暇が取れる制度を設けています。
昨年、女性管理職比率は一時期51%に達しました。この4、5年は、41~51%で推移しています。仕組みや文化を築けば、数字は自動的に上がります。
実は、女性を「つぶす人」は男性化した女性です。「チャック女子」と呼んでいます。正体は、女性という着ぐるみを着た「おじさん」。男性に付き合って1軒目は料亭、2軒目に銀座のクラブに行くような女性のことです。もはやそういう時代ではありません。女性役員には定時に上がってヨガに行ってほしいですね。
※AERA 2015年8月3日号より抜粋