南シナ海の埋め立て、国際金融機関AIIB(アジアインフラ投資銀行)の設立と、大国の自信がみなぎる習近平政権。ただ、どうも粗暴さが目立つ。そんな中国と日本が今、接近しているのは、なぜなのか。
日中関係に、ささやかな曙光が差し込んでいる。自民党を代表する中国通の二階俊博総務会長は、5月に3千人の大訪中団を連れて北京を訪問。人民大会堂での夕食会で、予告なしに習氏が姿を現し、二階氏と手を取り合った。
二階氏の手には習氏に宛てた安倍首相の親書が握られていた。二階氏は帰国後、安倍首相に会談の内容を報告。すると、それから数日後、香港・フェニックステレビ東京支局長の李ミャオ(※)(リミャオ)さんの携帯電話が鳴った。
「総理がインタビューを受けます」
官邸の広報担当からだった。中国系メディアから安倍首相が直接の取材を受けるのは、第2次安倍政権では初めてだ。どういう風の吹き回しなのか──。
李さんがもっと驚いたのは、首相の受け答えだった。安全保障関連法案のことを質問しているのに、どんどん歴史認識や日中関係について話し始めたという。つまり、その話をしたかったのである。そして、口から飛び出したのは、これまで語ってきた中国脅威論ではなく、なんと日中友好論だった。