ジョブグレード制度の詳細も聞いた。個人でプロフェッショナルとして貢献する社員のためのインディビジュアルコントリビューター等級群(I)と、チームを率いて管理職として貢献する社員のためのマネジメント等級群(M)を設け、社員をこのいずれかに振り分けた。新入社員の時点では全員がIに属するが、I5から上に上がる段階で、I6かM6に分かれる。数字が同じなら、IとMの給与は同じになり、またIとMを行き来することもできる。

 等級と給与がリンクするため、飛び級すれば給与も大きく変動するのがミソだ。例えばI4からM6の統括課長に抜擢されれば、月給は大幅アップ。

「人によっては月額10万円程度変わります」(柴田さん)

 管理職にならなければ給与が上がらないこれまでの仕組みは、技術を究めたいエンジニアには不評。新制度ではI6以上の上級専門職を目指す道も開いた。ハードルは高いが、モチベーションアップにつながることをソニーは期待する。

 だが一方で、管理職の半数がポストから引き剥がされ格下げされる、というムチの側面はどうなのか。給与は数年かけて段階的に減らされるとはいえ、あまりに過激。柴田さんも、社員説明会で批判が集中することを覚悟していたというが、若手を中心に、「まだ甘すぎる」「本当にやりきれるのか」という声が多く出た。

「昔のソニーの人員構成は下が多くて上が少ないピラミッド型。それが今は逆ピラミッド型です。バブル入社組などベテランの中には、優秀な人もいますが、若手の間には、上がつかえていて、自分たちはバッターボックスにすら立てないという不満が根強い」(柴田さん)

AERA 2015年7月13日号より抜粋

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