テッセイいまやおもてなしの見本とまでなっている、スタッフが新幹線を迎える際の「斜め15度の礼」(撮影/高井正彦)
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いまやおもてなしの見本とまでなっている、スタッフが新幹線を迎える際の「斜め15度の礼」(撮影/高井正彦)
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帽子や服で季節感を演出する(撮影/高井正彦)
帽子や服で季節感を演出する(撮影/高井正彦)

 仕事で良いパフォーマンスをするためには、モチベーションアップ、つまり社員の「やる気」が重要。上手くやる気を引き出すことで、劇的に変化した企業がある。

 やる気は「仕組み化」で引き出すことができる。それを証明したのが、テッセイこと「JR東日本テクノハートTESSEI」だ。新幹線車両清掃の専門会社で、いわゆる「3K職場」。

 テッセイはかつてスタッフの士気が上がらない、離職率の高い会社だった。10年前に活性化の改革に着手し、いまや「奇跡の職場」といわれるまでに変貌。国内外から視察や研修は引きも切らず、米CNNは新幹線を7分で清掃する技を「7ミニッツ・ミラクル」と報じ、経済産業省の2012年度「おもてなし経営企業選」にも選ばれた。

 テッセイに改革のメスを入れたのは、今年3月まで陣頭指揮をとってきた、前おもてなし創造部長の矢部輝夫さん(67)だ。05年、JR東日本から取締役経営企画部長として赴任したときの第一印象をこう語る。

「テッセイは、グループ会社の中であまり評判が良くありませんでしたが、来てみると、予想に反してスタッフの能力は高く、仕事にも真面目に取り組んでいた。ただ、トップダウンで一方的に管理されるばかりで、鬱屈して活力を失っていたのです」

 リーダーのミッションは、進むべき道を夢をもって語ること。矢部さんはテッセイの仕事を再定義し、社員、パートのスタッフ全員にこう伝えた。

「我々の仕事は清掃業でなくサービス業です。あなたがたは掃除のおじちゃん、おばちゃんではなく、新幹線劇場のキャスト。お客様に温かな思い出をお持ち帰りいただくのが仕事です」

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