会社のなかに「外」に通じるドアをつくろう。「中」にずっといても、できないことや分からないことがあることを認めることが、スタートかもしれない(撮影/写真部・堀内慶太郎)
会社のなかに「外」に通じるドアをつくろう。「中」にずっといても、できないことや分からないことがあることを認めることが、スタートかもしれない(撮影/写真部・堀内慶太郎)
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 会社に籍を置きながら、社外でまったく違うことを何年も体験し、パワーアップして戻ってくる。「会社が人を育てる」という観念が崩れている。

 数年前のこと。台湾の大学で働いていた友人がある日、政府の特別職に起用された。「大学を辞めるの?」と聞くと、友人は目を輝かせて言った。

「留職停薪だよ。3年やったら戻る。学生の相手に疲れていたし、ちょうどいい」

「留職」は籍を残すこと、「停薪」とは給料をもらわないことだ。「留職停薪」は、出産や育児、介護などに加えて、この友人のように期限付きで別の仕事に就くこともできる制度で、組織によって3年とか5年とか期限が決められている。欧米では「leave without pay」などと呼ばれる。

 日本では、一般的に産休や育休以外で企業が理由を問わずに休暇を認め、留職することは難しい。ただ、そうした中でも、新しい研修のスタイルとして制度を整える企業は着実に増えている。

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