アエラにて好評連載中の「ニッポンの課長」。
現場を駆けずりまわって、マネジメントもやる。部下と上司の間に立って、仕事をやりとげる。それが「課長」だ。
あの企業の課長はどんな現場で、何に取り組んでいるのか。彼らの現場を取材をした。
今回はJX日鉱日石エネルギーの「ニッポンの課長」を紹介する。
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■JX日鉱日石エネルギー 新エネルギー事業部 ESCO&ソーラーグループ担当マネージャー 舞弓奈央子
那覇空港へ向かう機中から地上をのぞく。海に囲まれた石油備蓄基地が見える。ずらりと並んだ原油タンク群のわきに、太陽光パネルが輝いている。石油元売り最大手、JX日鉱日石エネルギーが沖縄石油基地内に建設中の「うるまメガソーラー発電所」(沖縄県うるま市)だ。
「ここは、太陽に恵まれた土地。原油タンクとこれからのエネルギーである太陽光パネルが並び立つ風景が気に入ってます」
そう話すのは、このプロジェクトの責任者、舞弓奈央子。全国にあるJXグループの遊休地からメガソーラーの建設候補地を選び、日照条件や事業採算性を検討。場所が決まれば、地元の電力会社や官公庁への申請手続き、工事会社との折衝などを行う。根気の要る仕事だ。これまで宮城県や山口県など全国6カ所で送電を始めている。沖縄は来春の稼働予定だが、出力12メガワット、広さ16万平方メートルは、その中でも群を抜く。
出身校の久留米工業高等専門学校電気工学科では、クラス40人のうち女子は2人だった。大学編入後、九州大学大学院総合理工学研究科エネルギー変換工学専攻に進み、プラズマ関連の研究を行った。
「電気の勉強をし始めた頃から、環境にやさしいエネルギーをもっとつくれないか、ずっと考えていました」
旧日本石油化学に入社すると製造現場の技術部門を担う計画部に配属され、以来、そこで制御システムの設計や運転教育を担当してきた。その間、米国新プラント建設プロジェクトも2年経験。そして2012年8月、メガソーラー発電所建設担当者の社内公募を見た時、かつての夢が蘇り、思い切って応募したのだ。
口調は穏やかで、慌ただしい工事現場とは一見無縁のよう。だが、現場で培った厳しさを秘めている。
「何をおいても安全第一。現場ではけっこう口うるさいんですよ」(文中敬称略)
※本稿登場課長の所属や年齢は掲載時のものです
(ライター・西元まり)
※AERA 2014年11月3日号