三井不動産商業マネジメント「脱セオリーと対話力」三井不動産商業マネジメント アーバン事業部運営統括課長 劔持直子(45)撮影/伊ケ崎忍
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三井不動産商業マネジメント
「脱セオリーと対話力」

三井不動産商業マネジメント アーバン事業部
運営統括課長 劔持直子(45)
撮影/伊ケ崎忍
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 アエラにて好評連載中の「ニッポンの課長」。

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 現場を駆けずりまわって、マネジメントもやる。部下と上司の間に立って、仕事をやりとげる。それが「課長」だ。

 あの企業の課長はどんな現場で、何に取り組んでいるのか。彼らの現場を取材をした。

 今回は三井不動産商業マネジメントの「ニッポンの課長」を紹介する。

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■三井不動産商業マネジメント アーバン事業部 運営統括課長 劔持直子

 一歩足を踏み入れると、そこには「和」を強く意識した空間があった。2010年に東京・日本橋で開業した「コレド室町」。出汁や昆布、箔小物の専門店が並ぶ1階の内観からは、「江戸」「日本橋」の香りが漂う。劔持直子は、ここを運営する三井不動産商業マネジメントで、この施設の販売促進を担当している。

 三井アウトレットパーク、ららぽーと……同社が手がける他の商業施設と比べ、コレド室町は独自路線だ。重要なのは、店舗がずっと客足を伸ばしていくこと。だから、劔持は店舗の販売支援に軸足を置く。たとえば、夏に施設が金魚をテーマにしたイベントを展開するときには、入居する店舗にも、金魚にちなんだ商品開発を提案する。

 明治大学文学部を卒業して百貨店に就職。バブル入社組ではあるが、すぐにバブルははじけ、ものを売る厳しさを知った。

 2003年に転職したが、百貨店で覚えた「セオリー」が、このところ通じないことが多くなった。上層階のレストランから、客足が自然と階下の店舗に流れる「シャワー効果」も、今は昔。社会の多様化は著しく、商業施設に求められるものは、ショッピングだけではなくなった。だから、読みにくい。

 今は10月10日開業の「飯田橋サクラテラス」の販促に奔走している。オフィス、住居、店舗が混在する駅前複合施設だ。地域の拠点としての機能も求められるから、

「地元感を意識したPRに力を入れています。ただ、最後のよりどころは、顧客との直接対話。正解を導き出すマニュアルはない。ひとりでは解決できないこともあるから、課題が出てきたときは、社内の知恵を集めます」

 だから、チームのメンバーを大切にする。逆に知恵を求められることも多く、持ち前の「姉御肌」で課を引っ張っている。(文中敬称略)

※本稿登場課長の所属や年齢は掲載時のものです

(編集部・岡本俊浩)

AERA 2014年10月6日号