東洋英和女学院の正門。朝7時半くらいから次々と登校してくる生徒たちはみな、先生に明るくあいさつ。学問だけでなく、キャンプやボランティアなど女子だけでいろいろな体験をしながら成長する(撮影/写真部・堀内慶太郎)
東洋英和女学院の正門。朝7時半くらいから次々と登校してくる生徒たちはみな、先生に明るくあいさつ。学問だけでなく、キャンプやボランティアなど女子だけでいろいろな体験をしながら成長する(撮影/写真部・堀内慶太郎)
この記事の写真をすべて見る

 現在、全国の高校の中で女子校は7%に満たない。最近は既存の女子校が共学化される流れが強かった。しかし、女子校は多くのリーダー人材が輩出している。

 育児・教育ジャーナリストのおおたとしまささんは指摘する。

「通常、女性は理系科目が苦手と言われますが、海外の調査によると、女性でも女子校の生徒ほど、物理や数学などの理系教科を選択する可能性が高いという結果が出ています。女子校の生徒のほうが自分のことをあえて『女性だ』と意識しにくく、女子だけでいるほうがかえってジェンダーフリーなのです」

 女子校では活躍している同性の先輩に会う機会が多く、ロールモデルがたくさんあるのも強みだ。東洋英和女学院出身で、ネイルサロンなどを経営するノンストレスの坂野尚子社長も先輩に憧れたひとりだ。

「同時通訳者の鳥飼玖美子さんのように世界で活躍している先輩がいると知って、自分もそうなりたいと思ったんです」

 坂野さんは国際基督教大学に進み、卒業後はフジテレビのアナウンサーになった。でも「女子アナ」の枠には収まらず、ニューヨーク特派員も経験し、会社を辞めた後コロンビア大学に留学。その後起業した。現在は女性が95%という職場を束ねる。不妊治療にも時短勤務を認めるなど、女性の思いに寄り添った職場づくりをしているという。

 東洋英和女学院では、社会で活躍しているOGが毎年4人ほど母校を訪れて、主に高1の生徒に講演をしている。これまで、外資系証券会社の社員、テレビ局のデザイナー、弁護士、医師、官僚などあらゆる分野の先輩たちが在校生に向けてメッセージを送った。

AERA 2014年10月13日号より抜粋