世界一まであと一歩まで迫った錦織圭(24)。その陰には、いつも「世界標準」で育ててきた父がいた。
全米オープン男子シングルス決勝。センターコートに「KEI」コールが響いた。錦織圭の両親が「世界に羽ばたく人間になってほしい」と、外国人でも発音しやすい名前を息子に付けていたのだ。そう、彼は幼いころから「世界標準」で育てられてきた。
ただ、テニスのトップ選手は、小さいころから英才教育を受けた選手が多いが、錦織はちょっと違った。2、3歳の頃から水泳やサッカー、小学校では野球など、さまざまなスポーツを楽しむ中で、テニスを選んだ。
テニスとの出合いは、5歳のときだ。大学時代、サークルでテニスに親しんでいた父・清志さん(58)が、「家族でテニスを楽しめればいい」と、社員旅行の土産にラケットを買ってきた。
最初に「世界」を意識したのも父親だ。錦織がテニスを始めてまもなく、他の初心者の子どもが空振りするなか、球へのタッチがうまく、フォアもバックもしっかり打ち返す息子を見て、「天性のものを持っているかもしれない。どうせやるなら世界一を目指そう」と思ったという。