国際宇宙ステーション(ISS)で日本人初となる船長を務めた若田光一さん。訓練での失敗談などを明かした。
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――船長になることを意識されたのは、2回目のフライト(2000年)の頃で、当時の船長は米国人とロシア人だけだったそうですが。
仲間から、「おまえもリーダーシップを取ることを考えてもいいんじゃないか」と言われて、日本人でも(可能性が)あるかもしれないと意識し始めた。個人の能力は、どこの国の人も同じ。国力によって、その人が活躍できる範囲が変わってくる。
日本は技術的に高い能力をもち、日本人も訓練を積み上げていけば、リーダーになれる、挑戦したいと思った。日本の宇宙機関が、世界の中でより重要な仕事を担っていけるようにがんばりたい。昨日、今日、明日と同じことを繰り返すのが楽かもしれないが、個人としても新しいことにチャレンジしたいと思った。
――船長として危機管理の訓練はどうでしたか。
火災、急減圧、アンモニアガスもれが想定された緊急事態で、万が一、起きた時に、きちんと対応できるよう、細心の注意を払って訓練した。
訓練でも、緊急時の対応はみんなから見られていて、リーダーとしてどういう判断をしたかによって、信頼度が変わる。対応によって、その先の宇宙の仕事の進め方が変わるようなこともあり、本番以上に大切。
――失敗もありますか。
たくさんあります。訓練中にボルトで取り付けるものを間違って落として壊したり。次に起こりそうなこと、落ちるかどうかを予測してなかったミス。
失敗してもいい。人間は失敗する。でも、同じ失敗を繰り返さないようにする。小さい間違いをたくさん経験して、その原因を分析して、教訓にする。怠けるのはダメ。分析しないと失敗を繰り返すことになる。同じ間違いを繰り返さないように努めることで、大きなミスを防ぐ。
※AERA 2014年8月18日号より抜粋