山田悠介(やまだ・ゆうすけ)1981年東京都生まれ。2001年に自費出版した『リアル鬼ごっこ』が70万分を超えるベストセラーとなり、作家に。映画やドラマ、漫画化された作品も多い(撮影/写真部・慎芝賢)
山田悠介(やまだ・ゆうすけ)
1981年東京都生まれ。2001年に自費出版した『リアル鬼ごっこ』が70万分を超えるベストセラーとなり、作家に。映画やドラマ、漫画化された作品も多い(撮影/写真部・慎芝賢)

 作家・山田悠介の作品に多くの中高校生がどっぷりとハマっている。全国500万人の佐藤姓の人を皆殺しにする鬼ごっこの物語『リアル鬼ごっこ』や、エリート高校生たちが教師の命を救うためにパズルのピースを集める『パズル』など、奇抜なストーリーが若者を引きつける。その魅力を探るべく、本人にインタビューした。

* * *
──自費出版でのデビュー?

山田:記念に出せればいい、ぐらいの気持ちで楽しく書きました。プロでやっていこうとは考えていませんでした。

──刺激を受けるものは?

山田:街中をぶらぶらしたり、あとはテレビですね。ニュース番組などを見て「これは生かせる」とふくらませます。

──作品には、復讐の物語も目立ちます。

山田:僕自身に復讐心はありません。何もせず文句を言う人には自分のせいだろ?と思いますが、それでも怒りはないです。

──怒りはないんですか?

山田:はい。怒りも、メッセージもない。たとえばニートを描いても俯瞰して書いて、共感も反感もないですね。あくまでエンターテインメント。主人公が不幸な境遇に追い込まれるストーリーは、僕が主人公を追い込みたいだけです(笑)。どう読むかはそれぞれ自分で考えてほしい。考えることが、自己責任を果たすことだと思います。

──読者層を意識しますか?

山田:意識はしないですけど、若い人たちに読んでもらいたい。面白くないと言われたら、次はこうしようと生かします。

──中高校生が山田作品に強く引かれる理由を、ご自身では?

山田:単純に楽しんでくれているんでしょう。僕自身、ただ楽しんでほしいだけですから。大人は汚れてますね、すぐに深読みしたがる(笑)。

──楽しさの秘密は?

山田:「物まね」もそうですがリアルすぎるものは面白くなくて、大げさにやるから面白い。リアルさを求めるなら山崎豊子さんを読んでください。僕は真逆にいる人間です。

──山田作品を子どもに読ませたくないと言う親もいます。

山田:中高校生にもなれば、子どもが読みたいなら、親がどうこう言うことではないと考えます。

AERA  2014年5月5日―12日合併号より抜粋