女性の活用を訴える安倍政権に押され、数値目標を掲げる企業が増えている。女性枠は逆差別? 男性たちはどう見ているのか。
流通大手の男性(42)の会社では、同時期に2人の女性部長が誕生した。同じく昇格できるレベルと思われていた男性は見送られ、彼女たちの働きに社内の注目は集まった。そのせいか、女性部長たちは主張も自立心もかなり強い。
「女性差別をするつもりはないが、理詰めよりも、思い込んだら一直線という傾向が女性管理職にはある。こちらが矛盾点を指摘しても『うるさい』と一蹴され、人の好き嫌いも表に出やすい」
特に商品開発では期待されている女性らしさ、自分らしさを意識しすぎて、趣味に近い主観的な判断を通し、大勢を見失っているように思える。
「男性とは失敗の重みも違うのでプレッシャーも相当あると思いますが、女性が女性であることを気負わず客観的な視点を持つには、もっと時間がかかるのかもしれません」
ユニバーサル・スタジオ・ジャパンを運営するユー・エス・ジェイは、「幹部会議に女性がいないのは不自然だ」という社長の考えで、2005年から女性活用に本腰を入れ、昨年は女性部長を公募した。執行役員で人事総務本部長の下村敏啓さんはこう話す。
「シンボリックなものを掲げることに不安がなかったわけではなく、女性にゲタをはかせるのかという意見もあることも予想していた。結果、ネガティブな反応がなかったのは、中途採用が中心で上司が外部から来ることに抵抗がなかったからかもしれません」
公募に踏み切ったのは、人事評価の見直しと女性社員の教育・育成で女性管理職比率はそれぞれ2~3%は上がったが、その後頭打ちになったからだ。中途採用市場には圧倒的に男性が多いため、「男性10人に会うなら、女性3人に会う」と決め、現場と調整しながら時間をかけて採用を進めている。結果、これまでマネジャー以上の採用で男性6・5:女性3・5だったのが、12年度は逆転。05年に9.9%だった女性管理職(同社のアシスタントマネジャー以上)が、今年は19.9%と倍増した。
※AERA 2013年12月16日号より抜粋