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2020年に夏季五輪を開催する日本。1964年の東京五輪は人口は増加し、GDPも大きく成長する中で迎えたが、2020年は大きなGDP成長は見込めず、人口も減少することが予想される。ゆるやかな「下り坂」の中での五輪開催に専門家らは危機感を抱いている。
みずほ証券チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏は、人口問題を抱えたまま東京五輪を迎えることに危機感を抱く。五輪に向けて住宅やホテル、交通インフラなどのハコモノを建てれば、後世に大きな重荷を残すと見る。
「確実に人口が減るのに、五輪のためにハコモノを建てれば、『宴の後』は悲惨なことになる」
そんな事態を避けるために、移民の受け入れや外国人観光客の増加などによって、人口減を補う必要があると説く。
批評家の濱野智史氏も、ハコモノへの警戒感を語る。ハコモノよりも「人」に注目していくことが大切だと主張する。
「外国人観光客は五輪が終わっても日本に来てくれるか。継続的に日本に人を集めるには、一人ひとりのおもてなしが重要。ソフトの部分を高める工夫を、この7年間でするべきです」
※AERA 2013年11月11日号より抜粋
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