そう分析するのは、東京商工リサーチ情報部課長の坂田芳博さんだ。
一つの企業で、社員と役員の報われ方はどのぐらい違うのか。有価証券報告書にある正社員の平均所得と役員報酬を比べると、日産のゴーン氏は約141倍。日本調剤の三津原博氏で約106倍に上る。だが独自の役員報酬アンケートを30年以上続けている賃金管理研究所副所長の大槻幸雄さんは、経営者の声をこう代弁する。
「以前から欧米に比べて日本の役員報酬はケタ違いに低いと言われてきたが、外国人のトップを招聘したり、海外で現地の企業と伍して働く人を他社に引き抜かれずに定着させたりするには、それなりの金額が必要になる。昔に比べ経営陣もスリム化し、責任や権限が明確になりました。意思決定と業務機能が分かれ、責任も大きい」
リーマン・ショックや震災後のエネルギー問題などでブレーキがかかっていた役員報酬だが、アベノミクス効果などで来年3月期に業績を上げられれば、一気に上昇することも考えられるという。
※AERA 2013年7月15日号