稲田伸夫・検事総長(左)と森雅子法相=2020年2月19日、東京・霞が関の法務省(C)朝日新聞社
稲田伸夫・検事総長(左)と森雅子法相=2020年2月19日、東京・霞が関の法務省(C)朝日新聞社
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東京高検の黒川弘務検事長(C)朝日新聞社
東京高検の黒川弘務検事長(C)朝日新聞社

「急な発言で何を言い出すのかと思ったら、黒川検事長の定年延長問題の公然と批判する意見を検事正が言い出した。本当にびっくりした」(法務省関係者)

 東京高検の黒川弘務検事長(63)の定年延長問題をめぐり、19日に法務省で開かれた全国の法務・検察幹部が集まる「検察長官会同」で、冒頭のような爆弾発言が飛び出した。森雅子法相や稲田伸夫検事総長らも、出席したこの会議。その席上には当事者である黒川検事長もいた。

 森法務相、稲田検事総長の訓示や挨拶などがあり、その後、日産自動車元会長、カルロスゴーン被告の逃亡を巡って、保釈制度など検察運営の論議に移った。

「ゴーン被告の逃亡を受けて、法律改正が見込まれる中でその説明などがありました。そこで、意見はないかとの声がかかり、挙手して発言したのが、静岡地検の神村昌通検事正でした」(前出・法務省関係者)

 紙を手にした、神村氏は黒川氏の定年延長を念頭に法務大臣が発することができる検察庁法で定められた「指揮権発動」についての条文を読み上げたという。

「今回の(定年延長)ことで政権と検察の関係に疑いの目が持たれている」

「国民からの検察に対する信頼が損なわれる」

「検察は不偏不党、公平でなければならない。これまでもそうであったはず」

「この人事について、検察庁、国民に丁寧な説明をすべき」

 こうした趣旨の意見を述べたという。それに対して法務省の辻裕教事務次官は、「定年延長は必要であった」と述べるにとどまったという。

 黒川氏はその場では表情を変えずに聞いていたという。その隣には黒川氏の定年延長がなければ、次期検事総長とみられていた、名古屋高検の林真琴検事長が座っていた。

「会場は凍り付いたのようになった。黒川氏は内心は腹立たしかったんじゃないのかな。神村氏は、林氏に近いという声も内部ではありますからね」(前出・法務省関係者)

 それに対して神村氏と司法修習が同期の元東京地検検事、落合洋司弁護士はこう話す。

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意見した検事正の更迭は…