中国・武漢市からのチャーター機到着に備え羽田空港に集まった救急車 (c)朝日新聞社
中国・武漢市からのチャーター機到着に備え羽田空港に集まった救急車 (c)朝日新聞社
新型コロナウイルスについて緊急事態を宣言するWHOのテドロス・アダノム事務局長(右)=スイス・ジュネーブ (c)朝日新聞社
新型コロナウイルスについて緊急事態を宣言するWHOのテドロス・アダノム事務局長(右)=スイス・ジュネーブ (c)朝日新聞社
帰国者の受け入れに協力した勝浦ホテル三日月=千葉県勝浦市 (c)朝日新聞社
帰国者の受け入れに協力した勝浦ホテル三日月=千葉県勝浦市 (c)朝日新聞社
都内の薬局のマスク売り場。多くの店でマスクが売り切れた=1月29日 (c)朝日新聞社
都内の薬局のマスク売り場。多くの店でマスクが売り切れた=1月29日 (c)朝日新聞社
中国人観光客が減りマスク姿の人が目立つ東京・銀座=2月1日、撮影・多田敏男
中国人観光客が減りマスク姿の人が目立つ東京・銀座=2月1日、撮影・多田敏男

 新型コロナウイルスへの不安が急速に高まっている。国連の専門機関である世界保健機関(WHO)は1月31日(日本時間)に緊急事態を宣言した。

 中国の患者数は1万人を超え、死亡した人は250人を超えた。タイやシンガポール、韓国などアジアに加え、米国やフランス、ドイツなどでも感染者が見つかっている。

 世界経済への影響も懸念されている。1月31日の米ニューヨーク株式市場では感染拡大への警戒感から、投資家が株式を手放した。主な株価指標であるダウ工業株平均は前日比603・41ドル(2・09%)安い2万8256・03ドルと、約1カ月ぶりの安値となった。

 日本の感染者は1月31日時点で17人に上る。国内で人から人へ二次感染したとみられるケースもあった。症状がない感染者もいて、検査結果が判明するにしたがって、全体の人数はさらに増えそうだ。

 政府は流行地の中国湖北省に2週間以内に滞在歴のある外国人らについて、基本的に入国を拒否すると表明した。特定の地域を指定し入国拒否をするのは初めてとされる。感染症法上の指定感染症に指定する政令は、2月1日から施行された。

 日本でも不安が高まるなか、流行地である中国湖北省武漢市から、民間のチャーター機で多くの人が帰国している。第1便で1月29日に戻った206人のうち191人の一時滞在先になったのが、勝浦ホテル三日月(千葉県勝浦市)。担当者によると、政府の要請で急いで受け入れを決めたという。

「1月28日に政府から当社グループのトップに直接連絡があったようです。現場では夜通しで準備を進めました。予約が入っていた一般客は別のホテルに振り替えさせてもらった。部屋にはシャワーやトイレがあり、食事は基本的に弁当です。滞在期間は2週間ほどとされていて、約120人のスタッフが対応しています。要請に応じて、できることを精いっぱいやりたい」

 民間のホテルとして協力する姿勢には称賛の声が上がっている。一方で、政府の対応のまずさが露呈する場面もあった。ホテルは約170室で全員が一人部屋になるはずだったが、予定を上回る人数となり、20組程度が相部屋になったのだ。このうち2人が新型コロナウイルスに感染していたことも判明し、帰国者には不安が高まった。政府は一部の人を警察大学校(東京都府中市)などに移したという。

 これには厚生労働省の1月31日の会見に同席した専門家も、「部屋の中で同席したのはミステイクというか、準備不足だったと思います」と指摘した。

著者プロフィールを見る
池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

池田正史の記事一覧はこちら
次のページ
マスクが売り切れる店が続出