会社法違反(特別背任)などで起訴され保釈中の日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告がレバノンに「国外逃亡」した衝撃のニュースが世界中を駆け巡った。
レバノンのメディアは「ゴーン被告は楽器のケースに入って日本を出国」「レバノンに到着して大統領と面会した」などと報じ、出国にはレバノン政府の関与がうかがわせた。
ゴーン被告の代理人、弘中惇一郎弁護士はこう釈明した。
「寝耳に水。驚いた。パスポートは弁護団で預かっている。ゴーン被告の出国に弁護団が関与したことはあり得ない」
ゴーン被告は保釈にあたって「海外渡航禁止」「携帯電話の使用はインターネットに接続できないものに限る」「住居の玄関にカメラの設置」など細かな制限がつけられていた。逃亡劇で今後は注目されるポイントは保釈保証金と裁判の行方だ。
保釈保証金は15億円。過去最高額は牛肉偽装事件、ハンナンの浅田満受刑者で20億円。ゴーン被告の15億円は六代目山口組、高山清司若頭らと並び、2番目の高額なもの。
保釈保証金は刑が確定すれば戻ってくる。だが、保釈の条件に違反すると戻ってこない可能性が高い。
かつて、保釈中に逃亡したイトマン事件の許永中氏は6億円の保釈保証金が没収された例もある。ゴーン被告の出国も保釈条件に反するので、戻ってこないとみられる。
だが、ゴーン被告と連絡を取り続けてきた知人はこう話す。
「一般から見ればとんでもない金額です。しかし、ゴーンさんは保釈保証金を払う時も、安いとは言いませんでしたが、『用立ては苦労しなかった』と話していた。それより自由になって、戦いたいとの意思が強かったはず。15億円で自由になるなら、いいんじゃなかと思っている。それにゴーンさんは大成功したビジネスマンですよ。また稼げばいいって考える人ですよ」
そして、もう一つの問題は今後の裁判だ。現在、ゴーン被告の弁護士、東京地検と東京地裁の間で争点を調整する「公判前整理手続き」が実施されている。だが、ゴーン被告本人がいなくってしまった。元東京地検特捜部の落合洋司弁護士はこう解説する。