ライヴ・アット・ロニー・スコッツ/ジェフ・ベック
ライヴ・アット・ロニー・スコッツ/ジェフ・ベック
この記事の写真をすべて見る

2月の来日公演を迎えるジェフ・ベックの新作
Performing This Week…Live At Ronnie Scott’s / Jeff Beck

「ジェフ・ベックってロックじゃないの?」。そんなあなたにこそ、本作の魅力を知ってほしいと思って、今回取り上げた次第。全方位的な音楽ファンなら、ジャズ的な耳で聴いてもベックがすこぶる刺激的なミュージシャンであることは説明不要だろう。不案内な向きのために、簡単なベック情報を。1944年ロンドンに生まれ、60年代にヤードバーズで活動。ジェフ・ベック・グループを経て、70年代に発表した『ブロウ・バイ・ブロウ』『ワイアード』の2枚で、ジャズ/フュージョン・ファンに最大級のアピールをし、ギター・インストゥルメンタリストの地位を確立。その後はトレンドを参照した音作りを重ねた上で、近年は再び70年代作のファンに共感を与えるような姿勢にシフトしてきた。

 本作にはジャズの要素が色々と盛り込まれている。別項の共演メンバーで一目瞭然だろう。90年代に新世代のブリティッシュ・ジャズ・ムーヴメントの一角を担ったジェイソン・リベロ、86年生まれで初リーダー作が話題を呼んだ女性ベーシスト=タル・ウィルケンフェルド、ハービー・ハンコックとの来日公演も記憶に新しいジャズ~フュージョンの売れっ子ドラマー=ヴィニー・カリウタ。これら腕利き達と共に、ベックはさらに高い頂を目指すスポーツ選手かと思わせる全力疾走プレイで、聴く者を圧倒する。ジョン・マクラフリン作のマハヴィシュヌ・オーケストラ曲#2と、ビリー・コブハム曲#3で、70年代クロスオーヴァーへのシンパシーを表明。バラード名曲#4を経て、史上最速ヴァージョンと思われる#11ではキーボード・ソロの好演によって、この曲に新たな魅力が加わっている。そこからチャールス・ミンガス曲#12へとメドレーで移行する連続技にも唸った。ますます研ぎ澄まされてきたギター・プレイに、いよいよ前人未到の領域へと突き進み始めたのだなと実感する。ライヴ作づいている近年のジェフ・ベック。この勢いで2月の来日公演を迎えるはずだ。

【収録曲一覧】
1. Beck’s Bolero
2. Eternity’s Breath
3. Stratus
4. Cause We’ve Ended As Lovers
5. Behind The Veil
6. You Never Know
7. Nadia
8. Blast From The East
9. Led Boots
10. Angel (Footsteps)
11. Scatterbrain
12. Goodbye Pork Pie Hat/Brush With The Blues
13. Space Boogie
14. Big Block
15. A Day In The Life
16. Where Were You

ジェフ・ベック:Jeff Beck(g)
ジェイソン・リベロ:Jason Rebello(key)
タル・ウィルケンフェルド:Tal Wilkenfeld(b)
ヴィニー・カリウタ:Vinnie Colaiuta(ds)

2007年ロンドン録音