ヤロン・ヘルマン・デビュー
ヤロン・ヘルマン・デビュー
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本年度ニュー・スター賞の最有力候補に推したい才人ピアニスト
Variations / Yaron Herman

 2007年リリースのトリオ作『A Time For Everything』で注目していたピアニストである。邦題が示すように、これが日本でのデビュー作。ヘルマンが居住するフランスでは『A Time~』の前作にあたるソロ・ピアノ作だ。

 1981年イスラエルに生まれたロック少年は、ピアノを始めたのが16歳というから、後にプロ入りするとは思えない出発点だった。そんな常識を覆して現在に通じる道筋を作ることができた要因は、キース・ジャレットの研究家でもあったピアノ指導者との出会い。キースをきっかけとしてジャズにのめり込み、生来の才能が瞬く間に開花。19歳でバークリー音大に進学するも数ヶ月で見切りをつけたが(キースはバークリーを1年で退学)、帰国途中に滞在したパリで大きく運命が変わった。人脈も語学力もない環境で音楽活動を続け、レコード・デビューのチャンスをつかんで、新しいステージが展開したのである。

 本作でまず目に付くのはヴァラエティ豊かな選曲だ。ガーシュイン、フォーレ、スティング、ユダヤ古曲、そしてオリジナル。ジャズ、クラシック、ロック、ルーツ音楽から自分好みのナンバーをチョイスし、それらをほとんど類例のない手法でソロ・ピアノの可能性に挑んでいるのが素晴らしい。オープニングの名曲#1は耳慣れた雰囲気で始まると、ほどなく仕切り直しのように変奏パートがスタート。キースの美点を巧みに自分のものとしながら、数え切れないほどの先人がカヴァーしてきたこの曲に、独自の新しい光を当てるアイデアと優れたセンスに、本物の才能を感じる。本作は「変奏曲」とクレジットされた3つの組曲が用意されているのが特徴であり、ヘルマンに直接この点を質問したところ、テーマ~アドリブ~テーマという通例の演奏スタイルとは違うものを打ち出したかったから、とその意図を答えてくれた。ガーシュイン曲を発展させた#2、同曲をきっかけとしてさらに自分の世界に引き付けたプレイにより、キースのECMデビュー作を想起させる曲名で楽曲コンセプトを示唆する#3、今では市歌に採用されている#4と、ここまでの4曲には通奏低音が流れており、ヘルマンの構成力にも唸った。4月にはソロで初来日のホール・コンサートが決定。本年度ニュー・スター賞の最有力候補である。

【収録曲一覧】
1. Summertime
2. Blossom variation 1
3. Facing Him variation 2
4. Jerusalem Of Gold variation 3
5. Libera Me
6. Fugue variation 1
7. Eli Eli variation 2
8. Pie Jesu variation 3
9. Ose Shalom
10. Drops variation 1
11. Le Temps Du Conteur variation 2
12. Fragile
13. Hommage A Francis Paudras

ヤロン・ヘルマン:Yaron Herman(p) (allmusic.comへリンクします)

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